![]() |
カール・リヒター/J.S.バッハ: マタイ受難曲 (1979年録音)<タワーレコード限定>[PROC-2318]リヒター没後40年企画。不朽の1958年盤から約20年後のリヒターの"マタイ"、最終回答。最晩年、ARCHIVレーベルへの渾身の1979年録音盤を世界初SA-CD化!新規で本国のアナログ・マスターテープより最新復刻。国内盤での再発は約20年振りカール・リヒター(1926.10.15-1981.2.15)が残した最後のマタイ受難曲を世界初SA-CD化。最初の録音である1958年盤があまりにも有名なのに対し、亡くなる約2年前の録音であるこの1979年盤は、まさに忘れられたといって良いほどの扱いでした。何度も再発売される1958年盤の陰に隠れて、"無かったこと"にしたいとの声も聞こえる程です。一方で、リリースされた時期はアーノンクールを始めピリオドアプローチが主流になりつつあり、その時代においては、"過去のもの"として評価せざるを得なかった、という側面があったことも事実です。元々旧盤で示した方向性をさらに時代に応じて昇華させた演奏と期待していた当時のリスナーは、むしろ退化しているように映ったのでしょう。確かにモダン楽器で今更この解釈はどうなのかという疑念が当時生じたことは否定できません。リヒターは1958年盤の後、1969年の来日ライヴを挟み1971年に映像も収録を行っています。恐らく、出来に完全に満足できないリヒターが、更に高みを目指してマタイに常に挑戦をし続けたと言えるのではないでしょうか(解説書での矢澤氏は「精神の軌跡」と表現)。しかしその音楽はストイックなまでの厳格さの代わりに、より調和的な世界へ、和みの境地と融和を感じる演奏へと苦悩を伴って変化をして行ったように見えます。さらに後半部分になるに従い、その重さが身に染みるほど沈む演奏にも聴こえます。当時、疲弊したリヒター像としても受けとられたこの1979年盤の真価は、今こそ探求されるべきではないでしょうか。当時リヒターは望み得る最高のメンバーを招集しました。母体のミュンヘン・バッハ管弦楽団にはヘッツェルやニコレの名前がクレジットされています。更にオーボエにはマンフレート・クレメントという当代きっての名手(元バイエルン国立歌劇場首奏者。1959年以降ミュンヘン・バッハ管で演奏開始。1980年からはクーベリックに請われバイエンル放送響の首席に。ケンペ指揮でR.シュトラウスのオーボエ協奏曲も録音(EMI)。日本にも馴染みが深い))による素晴らしいソロの数々も聴きもの。また、歌手もリヒターにより当時の最高のキャストが揃えられ、シュライアーによるエヴァンゲリスト、F=ディースカウのイエスなど見事な布陣です。いずれにせよ、ここに残された演奏がリヒターの"最終回答"という事実に変わりはありません。リヒターが体現したかったこと、後の世に残したかったことや音楽観などは、この録音で我々も追体験が可能です。没後40年のこの機会に、わずか54歳で世を去ったリヒター最後マタイが最上の音質で蘇りました。より詳細に、より厳密に向き合う良いタイミングとして耳を傾けてはいかがでしょうか。(1/2) ¥6,286 |
![]() |